複雑機構のひとつであるレトログラード。針が回転せずに往復運動を行うという特殊な構造ゆえか、壊れやすいという噂もあります。
そこで今回は、レトログラードの仕組みや耐久性・扱い方についてまとめました。
目次
レトログラードの仕組みと歴史
フランス語で「戻る・逆行」を意味するレトログラード。針が扇状に動き、端まで到達するとジャンプしてスタート地点に戻るフライバック機構がレトログラードです。
針が一定の位置(端)まで進むと、バネの力で元のスタート位置に戻るというのが、レトログラードの仕組みとなります。
主にカレンダーや秒針に使われますが、時・分もレトログラードによって表示されるモデルもあります。冒頭の画像にあるソティリオ・ブルガリでは、日付表示部分がレトログラードとなっています。
その登場は17世紀後半あたりの懐中時計と言われ、18世紀後半にはブレゲなどがカレンダーに採用していたとのことです。
そこから長い間レトログラードの時計は見かけなくなるものの、1990年代にピエール・クンツやダニエル・ロート、ジェラルド・ジェンタといった独立時計師によって再び息を吹き返すという歴史を持っています。
レトログラードの扱い方
壊れやすいという噂のレトログラードですが、その原因の多くは「不適切な扱い方」にあるようです。
現在発売されている通常の機械式時計であれば、逆回しでの時間調整は問題ない反面、レトログラードの場合は針の逆回しを想定せずに設計されています。
こういった「逆向きに針を進めてはいけない」ということを知らずに壊したユーザーが多く生まれてしまったがゆえに、レトログラード=壊れやすいというイメージがついてしまいました。
まとめ
レトログラード式の時計でも、レゼルボワールなどが提供している現行モデルであれば、針の逆回しにも対応する時計が登場しています。
もっとも中古市場で流通しているレトログラードモデルは逆回しに対応していないものも多く、その取扱には十分注意すべきでしょう。