近年リリースされたオメガ(OMEGA)の文字盤でよく見る「MASTER CHRONOMETER(マスタークロノメーター)」。
このほかにもクロノグラフやクロノメーター、コーアクシャルやマスターコーアクシャルなど、オメガでは類似した用語が多くあり、慣れていないと混乱することも。
今回はマスタークロノメーターの解説と、その類似用語について紹介します。
目次
- マスタークロノメーターとは
- クロノメーターとは
- クロノグラフとは
- コーアクシャルとは
- マスターコーアクシャルとは
- まとめ
マスタークロノメーターとは
「マスタークロノメーター」とは、スイス連邦計量・認定局(Swiss Federal Institute of Metrology:METAS)が定めた項目のテストに合格した時計だけに与えられる「認定」です。
後述のクロノメーターやコーアクシャル、マスターコーアクシャルと同様に文字盤への記載がありますので、対象のモデルは文字盤で認定の有無を確認することができます。
また、検査内容は以下の8項目で行われます。
1. 15,000ガウスの磁場に触れた際のムーブメントの機能
COSC検定に合格したムーブメント単体を2つの姿勢で検査。各姿勢で15,000ガウスの高磁場環境にさらし、マイクで振動音をキャッチして機能を確認。2. 15,000ガウスの磁場に触れた際の時計の機能
ムーブメントをケースに収めた状態で15,000ガウスの高磁場環境にさらし、マイクで振動音をキャッチして機能を確認。3. 15,000ガウスの磁場に触れた際の一日平均の精度誤差
時計を15,000ガウスの磁場にさらし24時間後の誤差を記録。翌日、時計の磁気を抜き、さらに24時間後に誤差を測定。この2日間の平均誤差をテスト結果とする。4. 時計の平均日差
4日間かけて時計を6つの姿勢で、2つの異なる温度下に置き、15,000ガウスの磁場にさらす。各日の精度をチェックし、最終日に平均日差を算出。5. パワーリザーブ
ゼンマイが完全に巻き上げられた状態と最後までほどけた状態の写真を撮影し、時計のパワーリザーブ機能を検査。6. 6姿勢における精度誤差
時計を置く方向を変えた6つの異なる姿勢で作動中の誤差を確認。6つの測定結果中、最大値と最小値の差をテスト結果とする。7. パワーリザーブ残量が33%と100%の際の時計の精度誤差
時計を6つの姿勢で検査。まずパワーリザーブ100%の際の6姿勢の平均精度を記録。次にパワーリザーブ33%の状態で、同じ検査を行い平均精度を記録。この2つの平均値の差を算出。8. 防水性能
時計を水中に沈め規定の耐水圧(10気圧)まで徐々に圧力をかける。
引用元:オメガ公式サイトより
マスタークロノメーターの制度は2014年より発足され、この試験をはじめてパスした時計ブランドがオメガとなります。
コンステレーション グローブマスターシリーズを皮切りに、オメガは順次スピードマスター、シーマスターの新作モデルに、マスタークロノメーター認定モデルをリリースしています。
※マスタークロノメーター認定モデルの買取相場記事はこちら↓
- オメガ買取|コンステレーション グローブマスター 130.30.39.21.03.001
- オメガ買取価格|スピードマスター 304.30.44.52.01.001
- オメガ買取価格|スピードマスター 331.10.42.51.03.001
クロノメーターとは
スイスの公的機関スイスクロノメーター検定協会COSC (Controle Officiel Suisse des Chronometres)が定める精度試験に合格した「ムーブメント」に与えている認定を指します。
オメガだけでなく、ロレックスにもクロノメーター認定モデルがリリースされています。
クロノメーターがムーブメント自体の「精度」テストに対し、マスタークロノメーターは組み上げた時計そのものの「精度」「防水性」「耐磁性」「パワーリザーブ精度」といった総合的な試験となっています。
クロノグラフとは
クロノグラフとは、文字盤内に小さなダイヤル(インダイヤル)を持ち、ストップウォッチ機能がついたモデルの総称です。
オメガのスピードマスター、ロレックスのデイトナがクロノグラフの代表格といえます。
コーアクシャルとは
コーアクシャルとは、「脱進機」と呼ばれる機構を指します。通常の部品よりも耐久性に優れ、4〜5年に1度必要なオーバーホールの間隔を引き伸ばし、倍の10年に1度でも耐えられる構造となっています。
マスターコーアクシャルとは
コーアクシャル脱進機に加え、非磁性の素材を使用することにより15,000ガウスに耐えられる耐磁性を備えた機構がマスターコーアクシャルとなります。
第三者機関の認定もなく、耐磁性以外の防水性や耐久性などは対象外となります。
まとめ
マスタークロノメーターとは、厳しい試験をクリアした時計に与えられる「認定」です。
筆者がオメガ入門時につまずいた点のひとつが、これらの用語の区別でした。その他つまずきポイントとしては14桁のRef番やモデルの区分(分類)、重複するモデル名などなどありますが、それはまた別の機会に取り上げたいと思います。
参考記事:オメガ|リファレンスナンバー(Ref.)の読み方【14桁版】
オメガの高級路線化に伴い、新たな高価格帯シリーズにはこのマスタークロノメーターモデルのリリースがデフォルトとなるようです。
まだ登場して間もないですが、マスタークロノメーターは優れた性能をもつ証ですので、認定モデルは今後買取市場でも高値での売却が期待できます。